『矯正治療は歯を抜くからいやだな』
『健康な歯を抜くのはもったいないよね』
『歯を抜かない矯正治療ってあるんでしょ?』
などなど、矯正治療において歯を抜くことについての意見はたくさんあります。
このことは、何も一般の人だけではなく、歯科医師の間でも議論があるところです。最近では、『絶対に歯を抜かずに治療をする』『子供の時から矯正治療をしていたら歯を抜かずに治療できる』など色々言われております。確かに、子供の時から効果的な治療をすると、歯を抜かずに治療できる可能性も上がりますが、絶対に抜かないと確約できるものでもありません。ある大学の調査によると、56.2%の方が歯を間引いて治療しています。
歯科医師である以上、歯を抜くこと、それも健康な歯を抜くことには抵抗感があります。できれば、あまり抜きたくはありません。しかし、その歯を抜くことにより、それ以上のメリットが得られる場合は抜いて治療することを提案させて頂きます。
(参考:日本臨床矯正歯科医会編 歯並びと咬み合わせのガイドブック)
簡単に言いますと、顎が小さいまたは歯が大きいことによりガタガタになっている場合です。
ある程度までは、歯列の幅を広げるなどの対処により対応できます。しかし、限界を超える場合は、歯を間引いて治療した方が結果が良いと思われます。
下の表は、いわゆる乱杭歯と呼ばれるような歯です。色々な部分で軽いガタガタはありますが、一番ガタガタが大きいのは、白い⇒で示したところです。この部分は、1本分しか隙間が無いところに、2本存在しております。この方の場合、歯を間引いて治療させて頂きました。
![]() 上の顎 治療前 |
![]() 上の顎 治療後 |
![]() 正面から 治療前 |
![]() 正面から 治療後 |
口の中の噛み合わせは、上の顎(上顎:じょうがく)と下の顎(下顎:かがく)の位置関係によって大きく影響を受けます。顎の位置関係に調和が取れていない場合は、上顎前突症や下顎前突症などの不正な咬合の原因となります。
この顎の位置関係を治すためには、外科的に顎の位置を動かして治療を行うことがあります。しかしながら、不調和があるけど、外科手術を行うまででも無いといった場合、矯正治療だけで治療をします。その時に歯を間引いて対処することが多いのです。
歯が前に出ていると口が閉じにくくなります。
閉じるとしても、意識的な力がいるのです。つまり、意識していなければ、口を閉じることは無くなり、いつもポカンと口を開けた状態になります。
口を閉じることで唾液が口の中を潤し、虫歯や歯周病を防いでいます。しかし、口を開けていると、唾液は働かず、口の中は簡単に乾燥をしてしまいます。
口の中が乾燥すると虫歯や歯周病になりやすくなります。もし歯を抜かずに治しても、口が閉じにくくなるようであれば治療の効果は半減するといえます。
E-ライン
また、口元が出ている感覚がある場合には、歯を後ろへ移動させることが必要となってきます。
その場合、歯を間引いて治療する方が変化が出やすい時、歯を間引いて治療することを選択します。
横顔は、鼻の頭と顎を結んだ線(E-ラインと言います)の線上が美しいと言われています。歯が前にあることにより、唇が前に出るようになります。
![]() 治療例1 治療前 |
![]() 治療例1 治療後 |
![]() 治療例2 治療前 |
![]() 治療例2 治療後 |
もちろん、各医院で少しずつ治療方法が異なりますので、よく主治医とお話の上、自分の考えにあった治療医院、治療方法をお選び下さい。
頭痛の原因は様々ですが、噛み合わせの不具合が一因となることも。
ただし、脳疾患など重い病気の可能性もあるので、自己診断をしないで専門医に相談をすることが大切です。
歯が歪んでいたりデコボコしていると、毎日しっかりとハミガキでキレイに磨くのは結構大変です。
磨けたと思っていても、歯ブラシが行き届かず歯垢がたまったり、結果として虫歯を作ることになりやすいのです。
肩の筋肉の問題だけでなく、目の疲労や姿勢の悪さが原因となって起こる肩こり。
運動やマッサージをしても治らない肩こりは、歯のトラブルから来ているかもしれません。
両耳のすぐ前にある顎の関節の病気です。症状は様々ですが、噛む筋肉が筋肉痛、口を開けたり閉めたりする時に痛みがあったり、『カクカク』とか『ジャリジャリ』といった音が鳴ったりします。
原因としては噛み合わせの不良のほかに、歯ぎしり、骨格異常、ストレスなども考えられます。カクカクと音がする程度なら軽症ですが、口が開きづらい、痛みがあるなどの場合、病院へ行きましょう。
口臭がする、冷たい物や熱い物が歯にしみる、歯ぐきから血が出やすいといった症状が起きるのが歯周病です。
歯周病を予防、または進行を食い止めるためには、ハミガキをしっかりと行う必要があります。ですので、磨きづらい状態が続く、歯並びが悪い人は要注意です。